高層建築と聞くと、高層ビルのような鉄筋コンクリート造を思い浮かべる方がほとんどでしょう。しかし、最近では世界的に『木造高層建築』がブームとなりつつあります。
2019年にノルウェーで建設された『ブルムンドダール』が代表的な木造高層建築のひとつです。日本でも木造ビルの建設計画が増えつつあり、これから木造高層ビルが増えていくことが予想されています。
では、なぜ木造高層建築が世界的なブームとなっているのか気になっている方も少なくないはず。特にこれから高層建築を検討している方にとっては非常に重要な情報です。
そこで本記事では、木造高層建築ブームが起こった理由について解説します。また、木造高層建築ブームとあわせて注目されているCLT工法についても解説するため、ぜひ参考にしてください。
木造高層建築ブームが起きている3つの理由
さっそく、木造高層建築ブームが起きている理由をみていきましょう。理由として挙げられるのは以下の3つです。
以下でそれぞれ詳しく解説するため、ぜひ参考にしてください。
脱炭素社会の実現
1つ目の理由は、脱炭素社会の実現です。木造高層建築ブームが起きた理由には、脱炭素社会の実現に対する認識が世界的に強まったことが大きく影響しています。
脱炭素社会とは、地球温暖化の原因となる温室効果ガスのうち、CO2の実質的な排出量ゼロを達成している社会のことです。建築物の場合、鉄などの代わりに木材を使うことで製造や加工、建築時に要するエネルギーを少なくでき、CO2の排出量を減らせます。
上記のことから、木造での高層建築の需要が高まり、木造高層建築ブームが起こったとされています。
森林資源の活用促進
2つ目の理由は、森林資源の活用促進です。資源に乏しい日本において、数少ない豊富な資源が森林資源になります。
現在日本では、戦後の木が足りない時代に植えた木が利用できる時期を迎えています。しかし、日本では人口減少などの影響から利用期に入った森林資源を活用しきれていません。
森林資源をうまく活用することは、森林循環に良い影響をもたらし、CO2の吸収作用を強化します。そのため、積極的に木材を活用することが求められており、木造高層建築ブームを引き起こすことになりました。
CLT工法の発展
3つ目の理由は、CLT工法の発展です。CLT工法とは、木の板を直角に交わるように重ねて接着した木材である『直交集成板』を使用して建物をつくる工法を指します。
今まで木造高層建築が実現できなかったのは、高層ビルの建設に使えるほど強度のある木質建材が開発されていなかったことが理由です。しかし、CLT工法では高層ビルの建設に使えるほどの強度をクリアしています。
木造高層建築を実現するための課題が解決されたことが、木造高層建築ブームを起こした大きな理由のひとつです。
CLTと他の木材の違い
一般的に、CLTと同じように木の板を重ね合わせた木材には以下の3種類があります。
- 合板(厚さ数㎜、幅90㎝、長さ180~270㎝の単板を繊維方向に直交に貼り合わせる)
- 集成材(厚さ数㎜、幅10数㎝の板材を繊維方向と平行に貼り合わせる)
- CLT(最大2.7m×12mの面材料が可能であり、繊維方向に直交に貼り合わせる)
CLTは、合板と集成材の良い所取りをしたような特徴を持っており、柱や梁、壁、床などあらゆる部材として利用可能です。強度においては、引っ張り強度が「コンクリートの5倍」と非常に強く、大型高層ビルにも十分対応できます。
また「鉄筋コンクリートの4分の1の重さ」という軽さもメリットのひとつです。パネル工法や部分利用といった広範囲な可能性がある木材になります。
CLT工法のメリット・デメリット
ここでは、木造高層建築ブームの火付け役でもあるCLT工法のメリット・デメリットを紹介します。メリット・デメリットを理解した上で、採用すべきか判断しましょう。
CLT工法のメリット
CLT工法の代表的なメリットは以下の3つです。
- 中、大規模の建築物の工期短縮
- 森林資源が有効活用できる
- 建物の強度が高い
CLT工法は製造・加工を工場で行います。そのため、現場での施工が少なく、従来の鉄筋コンクリート造と比べると工期を短縮することが可能です。
また、CLTは板を重ねて接着するという特性上、あまり太くない木や節の多い木など、建材として不向きな木材でも使用できます。木造高層建築ブームが起こった理由のひとつでもある、森林資源の活用促進に役立つため、非常に大きなメリットです。
さらに、耐震テストにおいて高い強度が証明されており、従来の工法よりも高い強度を誇っています。さまざまな点から、木造高層建築に適している工法と言えるでしょう。
CLT工法のデメリット
CLT工法のデメリットとして挙げられるのは以下の2つです。
- 建築コストが高い
- 仕上げに制限がある
日本の建築業界では、まだ浸透していない工法であるため、様々な面で費用が掛かります。欧州ではすでに7万円を下回る㎥当たりの単価も、日本では2019年時点で15万円と、2倍以上の差が出ているのが現状です。
また、CLT木材は雨に弱いため、現在の技術では外部の仕上げとして用いることができないというデメリットがあります。なぜなら、他の木材と同様に水が染み込むと反りが起こって変形してしまうためです。まだまだ発展途上の工法になります。
木造高層建築なら片桐建設がおすすめ
項目 | 詳細 |
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名称 | 株式会社片桐建設 |
所在地 | 長野県伊那市福島1471 |
創業年数 | 1989年3月 |
木造高層建築なら片桐建設がおすすめです。片桐建設は50年以上の歴史を持ち、長野県を中心に多くの注文住宅や商業施設を手掛けています。
豊富な実績と高い技術力があり、CLT工法にも対応している会社です。また、熟練の職人が多く在籍しています。
技術力が必要とされるCLT工法において、熟練の職人が多く在籍していることは大きな安心材料といえるでしょう。興味のある方は気軽に問い合わせてみてください。
まとめ
本記事では、木造高層建築ブームが起こった理由や、木造高層建築ブームとあわせて注目されているCLT工法について解説しました。木造高層建築ブームは、脱炭素社会の実現や森林資源の活用促進など、環境問題への世界的な認識の変化が引き起こしたものでした。
環境問題はこれからも重要な課題であり続けるため、木造高層建築の需要はさらに高まっていくことでしょう。新しい商業施設の建設を検討している方は、積極的に木造高層建築を取り入れてみることをおすすめします。
本記事があなたのお役に立てれば幸いです。